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『気仙沼バイオマス最前線!』

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ブログ 『気仙沼バイオマス最前線!』

2014年2月8日、気仙沼地域エネルギー開発株式会社のバイオマスプラントを見学しました。

この気仙沼地域エネルギー開発社は、地域の信用金庫、地域事業者、サステナジー(株)が共同事業体(JV)として設立し、発電事業に取り組んでいます。サステナジー社は他にも、岩手県紫波町、宮城県石巻市、宮城県大崎市において、地域エネルギー会社を地元事業者と設立し、エネルギーサービスの提供、ファンドの運営などを行っています。

■彼らの強みは「先端技術」。エネルギー変換効率の高いシステムを海外から持ち込み、(1)ウッドチップを燃やしてガスタービンで発電し電力会社で売電、その際に出る排熱を売る。熱を捨てずに使うことで収益を高める仕組みだそうです。

■ポイントは、通常この手のシステムでは捨てている排熱をどこに売るか。ここ気仙沼の場合は、私が泊った気仙沼プラザホテルとその隣のホテル。これらに排熱を売るためにホテルのすぐ隣にバイオマスプラントを建設。そしてホテルが必要な熱の量に合わせたサイズのプラントを作る。予算的に無駄がない。

■地元の山主さんたちを自伐林家に育てるところから始め、彼らから木材を買い取り、チップに刻んで、発電する。しかも、自伐林業家から木材を買い取る際には、半分を現金、残り半分を地域通貨(リネリア)で支払う。で、市内では既に約180店舗でリネリアが使えます。つまり、伐採された代金の少なくとも半分は必ず地元経済に落ちるという仕組み。さすが。
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自伐林家から木材を買取るという仕組みは他地域でも行なわれているが、ここでは買取った木材の消費にFITを使った売電事業を出口として用意しているため事業全体が回るように組んでいるのが大きな違い。また金額は明らかにされなかったが、このような仕組みにより、地域還元される経済効果は太陽光発電よりも遥かに大きいとのこと。

■総事業費約20億円の半分は補助金、残りは地域金融機関の協調融資で調達し、地元事業者が運営する地域密着型の事業です。

で、ここ気仙沼での施設を実際に視察。写真をご覧ください。

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まだ工事中ですが、集めた地域材をウッドチップにして、ここに持ち込み、さらに乾燥させて投入。ガス化して、タービンを回して発電をし、この電力はFITを使って全量売電。排熱は油を加熱して、お湯をつくり、2軒のホテルに送る。
重要なのはウッドチップからガスを出した後、洗浄をし、ガスをきれいにする工程。これをきちんとしないとタービン発電機が汚れるそうです。

さて、お次は、市内から出て、山の中の木材集積場へ。
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気仙沼の発電工場は年間8,000〜10,000トンの木材を必要とします。すでにここには、5,000トンの木材があるそうです。中央の赤く見えるのがウッドチッパー。左のコンクリ場にダンプごと乗って計量します。

次は、もう少し車を走らせて、メガソーラーの建設場へ。

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ここは地元の事業者の発電事業。気仙沼地域エネルギー開発社がプロジェクト管理を行なっています。ソーラーパネルが3,600枚。計1メガWを発電。このくらいなら、鉄塔をあらたに建てずとも、普通の電柱を通して売電できるそうだす。事業費のミニマイズが出来ている。

大変勉強になりました。で、もう既に、賢く、地元との協業でバイオマス発電事業が始まっていることを知りました。地元経済が潤う仕組み。皆伐せずに山に優しい林業。素敵な未来が描けています。