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『ルポ 貧困大国アメリカ 2』堤未果 岩波新書 1225

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前作の『ルポ貧困大国アメリカ』は衝撃的だった。アメリカ合衆国って、GDP世界1で、中流以上が高級な服着て、デカい家に住んでいる勝ち組国家というイメージをもっ てしまいがち。しかし、それをみごとにひっくり返してくれた。で、そのパート2の本書もすごい。主に3つの柱。(1)借金地獄にはまる大学事情、(2)社会保険と医療保険の罠、(3)悲惨な刑務所労働。
どれをとっても濃厚なルポなのだが、特に驚いたのは、まず大学の学費。近年は毎年10%以上の値上げが行なわれている。アメリカでも大学を卒業し ないと一生涯皿洗いかもという恐怖観念から大学入学者数がうなぎのぼり。で学費が高いから借金することになる。それを喰いものにするビジネスがは びこり、公的学費支援制度を蹴散らしているそうだ。
サンフランシスコから下院議員に立候補したシンディ・シーハンさんは、「….今、UCLAに行った私の娘と息子は、それぞれ4万ドル以上の学 費ローンを抱えています。18%というクレジットカード並みの利息でね。」。18%というのはサラ金から借りているのと同じ。借金は膨大にふくら むだろう。
もっと強烈な話。刑務所の民営化が進み、なんとアメリカの民営刑務所では、囚人に1日あたり10ドルの家賃(?)を請求しているそうだ。さらに、 時給12セント(10円)の手当で労働を強いている。これでどうやって刑務所家賃を払えというのだろうか? カネがなくて犯罪をおかした人達がほ とんどだから、多額の借金を抱えて出所することになる。だから、また犯罪をおかす…。ぜひお読みください。