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これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会(2007)

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これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会

環境分野のブランディングや社会貢献、CSR活動などの展開を考えておられる企業・法人の皆様とともに、企業の環境・CSR活動について研究・交流を促進していくため、「これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会」を立ち上げました。

この研究会では、BeGood Cafeが賛同企業とともに維持再生を目指す小田原のみかん農園を会場に、法人の皆様が独自のCSR活動を行う際の参考となる事例紹介を多彩な講師陣とともに行なっています。農園の風や土、果樹などの自然を五感を通して感じながら、農体験や食事を楽しめるプログラムは、社員の皆様の啓発や福利厚生の一環としても役立つようにも工夫されています。

先進的な活動をしている他社の皆様とのネットワークづくりから多くの刺激が得られるはずです。
ぜひ素晴らしい環境の中での環境CSR体験をされてみませんか。ご家族での参加も歓迎いたします。


各回の開催報告
第5回報告 (2007.10.13) 第4回報告 (2007.9.8)
第3回報告 (2007.8.18) 第2回報告 (2007.4.28) 第1回報告 (2007.3.25)


第五回研究会報告

これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第5回秋の心地よい風が吹き、晴天となった第5回の研究会。今回は、青梅や所沢など各地でCSR活動を展開する東京コカコーラ株式会社広報部の秋元英雄さんにお出で頂きました。「私は東京コカコーラの社内報も作っていますので、今日は取材もかねて、皆さんへの新製品の紹介もして、一石二鳥、三鳥です」と、秋元さんはご自身のCSR活動の経験を語り始めました。

■ 開催日時:2007年10月13日(土)10:00〜15:30
■ 於   :小田原市久野 北村農園

■ 主 催 :これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会
■ お話し :秋元英雄さん(東京コカ・コーラボトリング株式会社 広報環境部)
■ 農業指導:四井真治さん(土壌コンサルタント)


当日のプログラム

9:30 受付開始
10:00 オリエンテーション
10:15 自己紹介
10:30 レクチャー&体験 パーマカルチャーでデザインする農園 四井真治さん
11:10 レクチャー テーマ「企業・行政・NPO恊働の現状と課題」秋元英雄さん
12:00 ランチ
13:00 本日の作業について 四井真治さん
13:10 畑作業(摘果、草刈り)
14:40 作業終了 休憩
14:50 シェアリング、片付け
15:30 解散


CSR活動の意義と課題

これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第5回

 青梅上成木での森づくり環境保全活動は、平成14年から東京都の環境学習リーダーたちが始めた事業で、コカコーラは16年度から参加しました。今でこそ当たり前になった企業・行政・NPOの協同事業でしたが、東京都では最初の事例となりました。ここでは、人工林の間伐、道づくり、生物の調査などを現地の森林組合の協力のもとに行なっています。17年からは東京ヴェルディーのサッカー教室も併設して行なわれるなど、参加団体が増える事で交流の幅も広がって行きました。

 課題としては、一つ目は社員ボランティアの継続的な確保が難しい事。社内報などで呼びかけてもなかなか人が集まらない状況があります。これについては人材育成のプログラムとして参加させることも考えています。二つ目にはマンネリ化の問題もあります。社内では常に「何のためにやるのか」ということも問われます。現在は人間関係で継続している部分もありますが、私が居なくなったとしても地継続できる仕組みにしなければ、事業としてやった意味がないとも考えています。

これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第5回

 昨年は東京コカ・コーラボトリングの誕生50周年で、全社員がボランティアをやることになりました。それまではボランティアはどちらかと言うと広報の仕事でしたが、各営業所がそれぞれの地域で清掃活動などのボランティアをしました。昔は、地域の中かで当たり前のようにボランティアをしていたものでしたが、効率化でそういう姿も見られなくなっていました。

 活動で気をつけている事は、活動の成果と同時に、人を育てるという意識を持つ事です。また、仲間意識は大切ですが、身内の集まりにならないように、なるべくオープンにしていくことも継続のために必要な事だと思います。社会貢献をすることは単にそれだけでなく、仕事に繋がっているということを理解させることも大切だと思います。人と人の付き合いが営業の基本でもあります。気づいていない人には、気づかせてあげることも必要なのではないでしょうか。

牧草を使った農園管理

これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第5回 食事を挟んで、四井真治さんによる農業指導が行なわれました。今回は牧草を利用した、農園のデザインについてです。

四井さんのお話:(抜粋)
 今日は、これから草取りをしますが、草を刈った後にいくつかの牧草を撒こうと思っています。牧草を撒き、私たちがコントロールしやすい草にすることで、除草の手間を省く事ができます。例えばここにあるイタリアンライグラスは冬に伸びて、夏場は枯れて土の上の倒れることで、マルチの役割をし、土壌を守るとともに他の雑草が出てくる事を防ぎます。またこれはイネ科の植物です。これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第5回こちらのレンゲ、クローバーなど豆科の植物が空気中の窒素を固定化し、植物に利用できる状態にすることは皆さんもご存知だと思いますが、イネ科の植物の根には根粒菌(こんりゅうきん)という菌が根に付いて、土の中のリン酸分などを溶かして利用できるようにするなど、土を豊かにする働きをします。皆さんがご存知の松茸も根粒菌の一つです。このように、草一つをコントロールすることで、より使いやすく見た目にもきれいな農園にしていくことが出来ます。

来年の農園は?

これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第5回  農園内には、様々な草が花を咲かせ、秋らしく賑やかな雰囲気でした。毎回きれいになって行く農園内での作業に自然と参加者の顔もほころびます。今年の作業も残すところあと2回ということもあり、名残惜しそうに時間一杯まで草取りの作業が続きました。作業終了後のシェアリングでは、来年の農園のあり方についても活発な意見が交わされていました。

 

第四回研究会報告

これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第4回 ■ 開催日時:2007年9月8日(土)10:00〜15:30
 
■ 於   :小田原市久野 北村農園
 
■ 主 催 :これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会
 
■ お話し :高野光世さん(棚田ネットワーク事務局長)
 
■ 農業指導:四井真治さん(土壌コンサルタント)

当日のプログラム

9:45 受付開始
10:00 オリエンテーション
10:15 自己紹介
10:30 レクチャー&体験 パーマカルチャーから見た農園 四井真治さん
11:10 レクチャー テーマ「棚田に見る農の現在」高野光世さん
12:00 ランチ
13:00 本日の作業について 四井真治さん
13:10 畑作業(摘果、草刈り)適宜休息
15:00 シェアリング
15:30 解散
これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第4回
これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第4回

土の性質を知ろう
 
 今回の研究会では、オリエンテーションの後、四井真治さんの指導で、土の性質を調べることになりました。

 植物には、それぞれ生育に適したpHがあるということで、園内凡そ20カ所の土を採取して中性の水に溶かし、pH試験紙で測ってみました。結果は、ミカンの木が弱っている辺りでは酸性が強く、生育に適していないことがわかりました。四井さんのお話では、この地域の土壌は元々火山活動に起因しているため酸性度が高く、ミカンはなっても酸味の強いものになりがちとのことです。それを防ぐために調べた土のpHに応じてアルカリ分を高める石灰を入れてやるなどの対策が必要になるとのことでした。科学的に土のことを考えることの大切さを感じました。

 続いて高野さんのお話を伺いました。

これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第4回

高野光世さん(棚田ネットワーク事務局長)のお話

 今日、ここに来て皆さんのお話を伺って、棚田もここも全く同じ問題を抱えているんだなって感じました。そういうことが分かっただけでも、ここに来られてよかったと感じています。

 棚田とは、1/20以上の傾斜地に耕作されてきた水田を指し、東南アジアをはじめ日本全国に点在しています。(※全国棚田分布地図参照)東日本では土坡、西日本では石積みといった違いがあります。

棚田に関わることの意味

 棚田には、食糧生産、地辷り防止、水源涵養、洪水調節、水質浄化、気候緩和、生態系保全、保健休養(景観、文化)といった多様な機能がありますが、私が棚田に真剣に関わるようになった理由は、何と言っても、あまりにも美しい風景に感動した事。関わってみて、癒されて自分が癒されて行くことに気づいたことだと思います。棚田は日本人の原風景なんだと感じます。
これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第4回これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第4回
 棚田の保全運動は、1970年から石川県輪島市 行政の耕作補助が始まったことが最初のケースで、
環境問題に関心の集まるようになった90年代に入ると、高知県檮原町で最初の棚田オーナー募集(1992年)、三重県紀和町で千枚田条例制定、復田開始(1993年から)などを経て、1995年からは全国各地の様々なグループが一斉に始めるようになりました。99年には『日本の棚田百選』が選定されるなど、こうした運動が定着するようになりました。しかし、棚田全体では過疎化や高齢化などによって放置されるところが急激に増えています。

 全国の農山村の今を深く考える事のできた研究会でした。

これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第4回これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第4回

【オーナー制度の類型】
I:農業体験・交流型(農業体験に重きがおかれ、田植え、草刈り、稲刈りなどの来訪が2〜3回)
II:農業体験・飯米確保型(農体験より飯米の確保が主目的。田植え、草刈り、稲刈りなど来訪は2〜3回)
III:作業参加・交流型(農体験から一歩進んだ型。来訪は、田起こし、田植え、草刈り、稲刈り、脱穀など4回以上)
IV:就農・交流型(来訪頻度が高く、年10回以上。作業には農機具を使用)


第三回研究会報告

これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第3回四半世紀に渡って「企業の環境に対する責任」を追求してきたパタゴニア。第3回目の研究会では、パタゴニア日本支社の篠健司さんをお招きし、パタゴニア社の環境問題への取り組みについてお話を伺いました。またお楽しみ企画として流し素麺、摘果ミカンを利用した冷たい飲み物をつくるなど、私たちと農園との関わりも深まって来ました。

■ 開催日時:2007年8月18日(土)10:00〜15:30
■ 於   :小田原市久野 北村農園

■ 主 催 :これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会
■ お話し :篠 健司さん(パタゴニア日本支社/環境担当)
■ 農業指導:四井真治さん(土壌コンサルタント)、石綿敏久さん(有機農業家/小田原市久野在住)

当日のプログラム

9:30 受付開始
10:00 オリエンテーション
10:15 自己紹介
10:45 レクチャー(1) パーマカルチャーについて 四井真治さん
11:00 レクチャー(2) パタゴニアの企業理念と社会貢献 篠 健司さん
11:45 流しそうめんで涼む
12:15 ランチ グリーンカレー、ミカンドリンク
13:00 本日の作業について 四井真治さん石綿敏久さん
13:10 畑作業(摘果、草刈り)、摘果ミカンは箱に集積
14:40 作業終了 休憩
14:50 シェアリング
15:30 解散

これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第3回

 35度を超える連日の酷暑。熱射病も心配される中、第3回の研究会を迎えました。幸い当日は曇りがちで最悪のコンディションは避ける事ができました。

 オリエンテーション、自己紹介に続いて、四井真治さんからパーマカルチャーで農園を再生する方法論について講義を頂き、続いて篠さんのお話を伺いました。

会社は社会を変える道具である

これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第3回 「最高の製品をつくり、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える。そして、ビジネスを手段として、環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する。パタゴニアのMission Statement(会社の存在意義)として掲げられたポリシ−です」篠さんのお話は、パタゴニアの企業理念から始まりました。
 パタゴニアは1970年代はじめ、登山家イヴォン・シュイナードによる登山道具の製造から始まりました。しかし、自分たちの製品が自然の岩場を破壊してしまう現実を知り、より環境負荷の少ない製品づくりへと素早くシフトする契機となりました。
 その後もパタゴニアは環境への取り組みを自らの使命と捉えて来ました。例えば全米で散布される農薬の25%がコットン栽培に使用されていることに着目し、1996年から自社のコットン製ウェアのすべてを100%オーガニックに切り替えました。2010年までに製品のすべてを再生素材または再生可能な素材にする目標も掲げています。

これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第3回 外部の団体に対しても、1986年から草の根的活動をする環境活動グループに毎年寄付することを決め、環境保護助成プログラムを開始。日本でも自然保護など様々な草の根の環境活動への助成を行っています。
 また、カタログやウェブサイトなど自社メディアを活用して遺伝子組み換えや、原生林の保護、グローバリゼーションの問題、ダムの撤去、再生可能エネルギーの普及、そしてフランスの大統領選挙での運動(「環境に投票しよう」)など様々な環境保護キャンペーンを展開しています。またそれらと分けられないものとして、従業員の労働環境の整備をあげ、「最も働きやすい職場」であることも目指して来ました。
 このようにパタゴニアは、企業活動全体を通して地球環境と社会の改善に向けて取り組んで来ていると言えます。「会社は社会を変える道具である」という篠さんの言葉はCSRの究極の姿を示しているとも感じました。

ミカンの香り漂う農園の午後

これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第3回 お楽しみの流し素麺、タイ風グリーンカレーのランチを頂きました。また、摘果したミカンをその場で絞り、蜂蜜と氷を加えた冷たい飲み物も好評でした。
 ランチに続いて、四井真治さん、石綿敏久さんから、現在の農園の状態と、それに対してどのような作業が必要かというかという説明を頂き、全員で作業にかかりました。
 今回の目標は農園内のすべてのミカンを一通り摘果することです。葉が青く比較的元気な木は2/3を、葉が黄色く弱っている木は全ての実を摘果するのを目標に作業しました。100本程のミカンに対し、参加者約30人が2時間かけて、ようやく目標の6割程を摘果した形です。どの程度ミカンの木の負担が減ったのかは分かりませんが、少しでも多くの木が生き残って欲しいと熱心な作業が続きました。

これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第3回 一見するとスダチのように見える青いミカン。摘果されたミカンの爽やかな香りが農園の中一面に漂います。まだ固い皮を剥いて頬張ると、強い酸味と爽やかな香りの中に、わずかながら甘みが感じられました。今回は殆どを捨てることになった摘果ミカンですが、食用以外の利用方法についても様々なアイディアが交換されました。

自分が手がけた木は愛おしい

これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第3回 3回目を向かえて、少しずつ作業のスピードも早くなっていますが、それ以上に参加する皆さんの笑顔が増えているように感じます。ある参加者は「自分が手をかけた木は何だか愛おしい」といい、ある参加者は「やっている間は夢中になってしまい、自分は農家に向いているような気がして来る」と漏らしていました。単なる「農作業」では終わらず、農場への愛情のようなものが生まれつつあるようです。
これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第3回 多くの農業を仕事とする皆さんにとってはそんな感傷に浸る余裕はないのかもしれません。でも都会で暮らす住人にとってこうした作業は大きな癒しの効果があるのだと実感しました。
 環境や農業の再生のためとはじめた活動ですが、一番恩恵を受けているのは、そこに関わることのできる私たち自身なのかもしれません。


第二回研究会報告

第二回目を迎えた研究会。今回は、地元小田原市久野で25年に渡って有機農業を続けてこられた石綿敏久さんをお招きして、地域で有機農業を続ける意義や難しさ、喜びについて語って頂きました。
また、プロの観点から、北村農園のミカンの状態や今後の生育についてのアドバイスを頂きました。

■ 開催日時:2007年7月28日(土)9:45〜15:30
■ 於   :小田原市久野 体験交流センター「きつつき」、北村農園

■ 主 催 :これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会
■ お話し :石綿敏久さん(有機農業家/小田原市久野)
■ 農業指導:四井真治さん(土壌コンサルタント)

当日のプログラム

9:45〜 オリエンテーション
10:00〜 石綿さんの農園見学
10:30〜 お話し「小田原での有機農業から見えるもの」
石綿敏久さん(お話と質疑応答で45分)
11:15〜 北村農園へ移動
12:00〜 北村農園にてランチ
13:00〜 作業の説明 四井真治さん
13:10〜 畑作業(草刈りなど)、各自で適宜休息
15:00〜 シェアリング
15:30 解散

小田原で有機農業を続けて

これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第2回午前中は地元有紀農家の石綿敏久さんに、ご自身の果樹園を案内して頂き、この地域で25年に渡って有機農業を手がけて来た経緯などを伺いました。

石綿敏久さんは、小田原で15代凡そ300年程続く農家です。地域でも代表的な農家だけに25年前有機農業を始めた頃、周囲の目は非常に厳しかったそうです。そんな石綿さんにとって転機だったのは、10数年前、母校でもあり、当時息子さんが学んでいた久野小学校の校長先生から、「小学校の体験水田を有機農法で指導して欲しい」と依頼された時でした。

不思議に思い息子さんの教科書を見ると、地球温暖化や有機農業、合鴨農法が写真入りで載っていました。石綿さんは時代が変わったものだと思うとともに、それだけ環境が悪化したのだとも感じたそうです。小学校の水田指導は今も続けてられています。

 「時代遅れの農業をしているといたものが、実は最先端の農業をしていたのだと理解されて、あちこちから引っぱりだこです。嬉しい反面、それだけ環境が悪化したのだとも感じて複雑です」と石綿さん。

ミカンが生き残れるかどうかは皆さん次第です

これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第2回案内して頂いた果樹園は、牧草などが生え、ふかふかとした地面のとても居心地の良い場所でした。雑草を生やさないことや窒素分を固定することなどを目的に、何種類もの牧草が植わっています。
 石綿さん野果樹園は、かつて殆どが温州みかんでしたが、今ではキウイやレモンライムなどを育てています。キウイは完全な無農薬無肥料、レモンライムは、かつてのミカンを台木にしたもので、実がつく頃に有機JASで認められているボルドー液を一回使用します。
 「昔はミカンを育てていたのだけれど、消費者の皆さんには(肥料をあげないミカンを)スッパイの不味いのって文句ばかり言われました。どうせスッパイの不味いのって言われるなら、スッパイのを作ってやろうと思って」と苦笑い。石綿さんのキウイやレモンライムは自然食品店の他、現在では大手スーパーでも販売されているとのこと。 彼の畑を見に、日本だけでなく台湾など海外からも視察に訪れるそうです。
これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第2回「肥料をあげない果樹は病気に強く、一度病気が出ても周りには広がりません」しかし、
「ミカンを慣行農法から自然農法に切り替えて行く場合、4〜5年はどんどん木が弱って行きます。薬漬けで肥料の力で育っていた木が、自然の厳しさに慣れるのにそれくらい時間がかかるのです」と石綿さん。「薬付けになっている私たちの身体も同じような状態なのかもしれないね」という声も聞かれました。
 事前に北村農園の視察を済ませていた石綿さんからは、こんな指摘もいただきました。
「皆さんのミカンは、今が全滅するかどうか瀬戸際の状態です。生き残るかどうかはみなさん次第です」「木の体力を維持し、枯れるのを防ぐには、実がなるのを極力減らし、絡まる草を刈ってください」石綿さんには、その他にもミカン栽培の基本的な知恵をたくさん分けて頂きました。

炎天下の草とりで、復活したミカン園

これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第2回北村農園に移り、ランチの後、講師の四井さんから、今回の作業についてのポイントを指導して頂きました。石綿さんからは、小田原のミカン園の担い手がいなくなり、差し迫った状況であることなどが伝えられました。
 私たちの研究会は300坪と小さな取り組みですが、小田原の農家の皆さんから見ても、このプロジェクトが上手く行くよう、とても期待をしているという話がされ、研究会の面々も前回にも増して熱が入りました。
 大変な炎天下の中、たっぷりの汗をかきながら、前回できなかった残り2/3の面積を除草しました。お化けのように伸びた草に隠れていたミカンの木々が顔を出し、ミカン園の全貌が初めてあらわになりました。摘果したミカンの香りが漂い、これから豊かに育って行くであろうミカン農園がより実感されます。
 作業終了後のシェアリングでも、「もっとしっかり畑との関わりを持ちたい」「何年も継続して関わりたい」など参加者の気持ちが語られていました。

第一回研究会報告

かつてミカンの一大生産地だった小田原。しかし生産者の高齢化、輸入自由化による値下がりなどから、手入れが行き届かず、放置されるミカン畑が増えています。
当研究会では、パーマカルチャーによるミカン農園の再生・地域交流を通し、新しい環境・CSR活動の構築を目指し、体験型研究会を行っています。

第一回研究会では、畑作業の体験とともに、NECの田んぼ再生プロジェクトについて、CSR推進本部 環境推進部 統括マネージャーの宇郷良介さんからお話を伺いました。

■ 開催日時:2007年6月23日(土)
■ 於   :小田原市久野 北村農園

■ 主 催 :これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会
■ お話し :宇郷良介さん(NEC CSR推進本部 環境推進部 統括マネージャー)
■ 農業指導:四井真治さん(土壌コンサルタント)

当日のプログラム

10:00〜 オリエンテーション
10:20〜 農園・パーマカルチャー・本日の作業について
解説:四井真治さん
10:50〜 農園作業
12:00〜 オーガニックランチ
13:00〜 お話「NEC田んぼ作りプロジェクト」について
宇郷良介さん(NEC CSR推進本部 環境推進部 統括マネージャー)
14:00〜 今年一年の農園をプランニングする(または作業)
15:00〜 シェアリング(ふり返り)
15:30 解散

企業による小田原・ミカン農園への参加が始まりました

小田原は、豊かな南向きの丘陵にたくさんのミカン農園が連なり、かつては日本有数のミカン産地でした。ところが、その多くは今後継者不足や輸入自由化などによる収益力低下で放置されています。

CSRオレンジプロジェクト(正式名称「これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会」)は、そんな放置農園に対して、企業参加によって再生支援する仕組みを、実際の作業を通して考えて行こうと始りました。

運営団体の一つであるNPO法人ビーグッドカフェは2005年から市民参加でこの活動を行って参りました。

2007年からは株式会社都市デザインシステム、日本経済新聞社の皆さんとともに「これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会」事務局を立ち上げ、多くの法人の皆様の参加でさらに可能性を広げようと、小田原市役所農政課のご紹介で久野の北村農園様の一画をお借りし、活動を開始しました。


第一回研究会はこんな感じでした

これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第1回第一回研究会は、6月23日(土)に行いました。当日は雨が心配されましたが、開始時間までには雨が上がり、これ以上無い快晴となりました。

最初に今回の主催である 株式会社都市デザインシステム、エコプロダクツ(日本経済新聞社)、NPO法人ビーグッドカフェより簡単なオリエンテーションを行ないました。その後土壌コンサルタントの四井真治さんから、土作りや農場の状態に関しての解説があり、参加者全員で草刈や施肥などの農園作業を行いました。炎天下の草刈はとても大変ですが、23名の参加者の皆さんは真剣そのもの。簡単なハーブ&野菜のガーデンも設置して今後が楽しみなものになりました。

これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第1回オーガニックランチをはさんで、午後は「NEC田んぼ作りプロジェクト」につてNEC CSR推進本部 環境推進部 統括マネージャーの宇郷良介さんに、お話を伺いました。企業がCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)に取り組む目的を明確にすべきというお話や、NECが「田んぼプロジェクト」によってあげている社員の福利厚生効果や環境教育効果、広報効果などについて具体的なお話を伺いました。

最後に参加者全員で今後の農園のあり方を考え、今回の成果や今後について意見を共有するシェアリングの時間を持ちました。参加者それぞれが、やってみて初めて感じる農的体験の素晴らしさ、大変な作業の中から感じること、企業人として農に関わることの意義や、この農園と自分達の今後の関わりや可能性などについて意見交換を行いました。

これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第1回炎天下の開催ということもあり体力的には大変だったものの、意義深い会だという感想が多く聞かれました。子どもの頃以来何十年ぶりかに土に触れ、とても懐かしいものを感じたという方もいらっしゃいました。

都会をひと時離れ、本物の土や空気に触れて畑で汗を流し、自分たちの力で畑が変わり、育ってゆく姿を見つめることで、深く充実した時間を体感し、明日への活力にも繋がって行く。そんな貴重な体験になったのかもしれません。企業活動の中でも、環境に関連した業務が増える昨今、こうした実体験は他に変えがたいものなのではないでしょうか。


高野光代さん プロフィール

これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第4回 高野光代さん 長野県生まれ、愛知県育ち。東京芸術大学音楽学部中退。
印刷会社など勤務の後、フリーで校正業をしながらNGO活動に関わる。
人と自然が共生する「棚田のある風景」の美しさに惹かれ、95年に棚田支援市民ネットワーク(現・特定非営利活動法人棚田ネットワーク)の結成を呼びかけ、99年春から専従。
全国棚田(千枚田)連絡協議会幹事。


秋元英雄さん プロフィール

これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第5回 秋元英雄さん東京コカ・コーラボトリング株式会社 広報環境部
1994年入社(押上営業所でルートセールスを5年、その後本社総務課で法務担当、企画職として配属。)2002年に広報環境部の環境担当となり、(現職の)社会貢献活動や環境啓発イベント、社員参加型ボランティア活動の企画に従事。行政、NPOとの協働による社会貢献ボランティア活動を2003年より推進、青梅上成木森林環境保全地域では、東京都、NPO、一般企業による始めての取り組みとして評価され、東京都環境局長賞を受賞。現在は、昨年の50周年記念事業を機にNPOと協働して社員参加型ボランティア活動の活性化と定着化を進めています。


篠 健司さん プロフィール

これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第3回 篠 健司さんパタゴニア日本支社・環境担当
http://www.patagonia.com/web/jp
1988年、米アウトドア・ブランド、パタゴニア(patagonia)の日本支社に入社。広報、直営店舗マネージャーを担当した後、1999年同社を退社。米アウトドア・リテーラー、REIの日本直営店舗の部門責任者として2年間勤務した後、パタゴニア日本支社に再入社。直営店舗マネージャー、物流部門マネージャー兼環境担当を経て、現在、環境担当。助成金などを通じた環境保護グループの支援、従業員の環境活動の推進等、環境プログラムを担当。アウトドア産業による自然環境保護基金「コンサベーション・アライアンス・ジャパン」理事。現在、インターネットサイト「日経エコロミー」などでコラム執筆中。


石綿敏久さん プロフィール

これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第1回 石綿敏久さん○ 小田原市久野で20年間有機農法を実施。
○NPO法人エム・オー・エー自然農法文化事業団正会員、MOA自然農法小田原普及会会長
○全国環境保全型農業推進会議主催の全国環境保全型農業推進コンクールで「敢励賞」受賞(平成10年度)
○東京都有機農産物流通モデル事業指定業者に認定(平成11年)。久野小学校 稲作勉強会10年間継続 10年前より国の小学校教育指定生産者指針に基づき「環境保全型(無農薬)有機農法」の実地勉強会
○「小田原有機農法研究会」生産工程管理責任者・有機農法生産工程管理責任者・有機農法研究会会長。環境保全型・自然農法体験ツアーの受け入れ、環境保全型農業セミナ講師などを続ける。



宇郷良介さん プロフィール

これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第1回 宇郷良介さんNEC CSR推進本部 環境推進部
1985年(昭和60年)3月 大阪大学大学院基礎工学研究科博士後期課程修了。同年4月 NEC入社、資源環境技術研究所(現 基礎・環境研)配属。振動・騒音制御技術など環境技術開発を担当。この間、カリフォルニア・バークレー校に環境政策の研究のため一年間留学。帰国後、LCA(ライフサイクルアセスメント)の国際規格化作業や社内および国内の啓発・普及に携わる。
1997年7月 環境推進部に異動。エコプロダクツ開発(LCA、環境配慮設計など)を担当。
2004年4月 CSR推進本部・環境推進部 統括マネージャー、現在に至る。

【現在の主担当業務】
・NECグループ環境経営の企画・戦略作り(環境経営ビジョン、環境中期計画)
・環境コミュニケーション(環境アニュアルレポート、ホームページ作成、
 広報・宣伝、展示会など各種イベント企画・実施など)
・環境意識啓発・教育活動

現在、NECグループ全社の環境経営戦略立案や環境報告書を中心とする環境コミュニケーションを担当。また、環境コミュニケーションの一環として全社員の環境意識向上のための環境教育を推進。2004年度からはNPO法人・アサザ基金の霞ヶ浦流域・谷津田再生事業を支援しながら、社員が谷津田で酒米を作り家族で農業体験を楽しみながら自然への関心を高めてもらう環境教育を実施中。
週末には、庭先での家庭菜園に始まり、市民農園での作付け、現在は神奈川県西部の借地の畑
(約500平米)に作付けして野菜の収穫で半自給自足に挑戦中。

通産省国際標準規格化対応委員:ISO14040(LCA)
通産省環境管理国際標準規格化対応委員会LCA小委員会委員
電子情報技術産業協会など、各業界団体・環境関連委員会委員

【主な著書】
・LCA実務入門:(社)産業環境管理協会、1998
・エコデザインのためのLCA入門:(有)ナナワールドコミュニケションズ、1998
・実践LCA−ISO14040対応−:(株)サイエンスフォーラム、1999
・NECにおける環境マネジメントの実際:(株)日科技連出版社、1999


四井真治さん プロフィール

これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会 第1回 四井真治さんパーマカルチャー・デザイナー 土壌管理コンサルタント。福岡県出身。1971年生まれ。
信州大学農学部修士課程卒業後、緑化会社、肥料会社を経て、有機農業コンサルタントを目指す。
現在は、土壌の分析・改良のコンサルタントなどを目的とした(株)そいるデザインとして活動。またその傍ら専門性を生かしBeGood Cafeでは愛・地球博でナチュラルフード・カフェに併設されたオーガニックガーデンをNPO法人パーマカルチャー・センター・ジャパンのスタッフの一人としてデザイン。PICA山中湖ヴィレッジではパーマカルチャーデザイン、植栽計画を担当。NPO法人BeGood Cafeオレンジプロジェクト講師。NPO法人パーマカルチャー・センター・ジャパン講師。