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エコビレッジ国際会議TOKYO 2007 レポート

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エコビレッジ国際会議TOKYO 2007

エコビレッジ国際会議TOKYO 2007
エコビレッジ国際会議TOKYO 2007

エコビレッジ国際会議TOKYO 2007

世界で広がるサステナブル・リビング

2007年11月23(金)・24(土)、第2回エコビレッジ国際会議が開催されました。

住民の総意を反映させ、住民が支え合う仕組みを持ち、エコロジカルなシステムで環境負荷を低くするコミュ二ティでの住まい方を「サステナブル・リビング」といいます。

海外の様々な形態のコミュニティの状況と、日本型コミュニティの歴史や現況を紹介し、双方の類似性と相違も含めたくさんの情報共有をしました。

先進的な取り組みを続けるゲストの方々の講演は熱気に包まれ、笑いあり、歌あり、嬉しいサプライズゲストの登場ありと刺激の多い2日間でした。

参加いただいたお客様からも「エコビレッジへの認識が変わった」、「教育的広報機関としての役割が大きいことに希望を感じた」など前向きなものがたくさんありました。

共催のNPO法人パーマカルチャー・センター・ジャパンの皆様や、ご協賛企業関係者各位、当日のイベントを作り上げて下さったボランティアの皆さん、ご来場下さった皆様本当にありがとうございました。

以下、2日間の講演の詳細を報告します。

→ ゲストプロフィール詳細

エコビレッジ国際会議2007 レポート
(*サムネイル写真をクリックすると拡大写真とキャプションが表示されます)

11月23日(金)
エコビレッジ国際会議 2007
地球環境時代のエココミュニティーの創造 糸長浩司さん

世界中に広がりつつあるエコビレッジ運動。それは、先進国と呼ばれる諸国で生まれた文化や経済システムを世界へ広げるグローバリゼーションに伴い薄れてしまった『人と自然』、『人と人とのつながり』、『地域固有の文化』などを取り戻し、社会、経済、スピリチュアリティーを高めながら、自然と調和した持続可能な社会を実現していくことに焦点が向けられている。つまり、お金中心の社会から自然や人を中心とした社会へのシフトが始まっているのだ。かつて里山を通して自然とつながる生活をしていた日本では、過疎化した里山で循環型の暮らしを復活させ、エネルギーの自給や新たなビジネスを展開しながら地域社会とつながっていくことが大きな可能性を持っている。糸長さんの講演でエコビレッジの概念を確認をした後、多彩なゲストスピーカーから国内外の実践例が報告された。
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エコビレッジ国際会議 2007
サスティナブルコミュニティーの創造  ダイアナ・クリスティアンさん

GEN(Global Ecovillage Network)によると、現在世界に1,500のエコビレッジのプロジェクトがあり、およそ30カ国に約80ものエコビレッジがあるという。
エコビレッジのタイプには、1)インテンショナル・コミュニティ、2)持続可能性教育センターの機能、3)環境の持続可能性を重視した伝統的な村落、の3つのタイプがある。またエコビレッジは、理想的には(a)環境面、(b)経済面、(c)社会・文化精神面、この3種類の持続可能性を追求するものである、とダイアナさんは説明する。
ダイアナさんは「コミュニティーズ」誌で“最も美しいエコビレッジ”に選ばれたイタリア・ダマヌールを始め、デンマーク・ムンソガード、インド・オーロビルなど世界のエコビレッジの取り組みを、現地の写真と共に紹介。それぞれのエコビレッジが、気候や地形、伝統文化と最新のテクノロジーを融合させ、環境に最大限優しく、また人間らしい暖かなコミュニティを創造していた。日本のエコビレッジの理想形を考えさせられる内容だった。

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エコビレッジ国際会議 2007
フィリピンのエコビレッジづくり ペニー・ベラスコさん

朗らかな人柄に聡明さ、コラージュ絵本の作家でもあるアーティストとしての感性と強い意志を併せ持つ彼女は、フィリピンという経済的弱者と捉えられがちな国で、真の豊かさというものを非常によく理解して行動している。彼女らのフィリピンでの活動は今や世界的に評価されている。
「今私たちは地球の重要な瞬間に立っています…」地球憲章の前文を読み上げることから始まったペニーさんのプレゼンテーションは、フィリピンでのさまざまなエコビレッジ活動について行われた。
まず紹介されたのは「CELL(Center for Ecozoic Living and Learning)」。ここは、貧しい人々によって生まれた循環型のエコ・センターだ。年に4万人もの人々が訪れるという。次に紹介されたのは「Cabiokid」。この場所は6年かけて作られたパーマカルチャーの思想に基づく農場だ。さらにこの場所では、野生動物救済センターの役割もはたしている。3番目には、ペニー自身が代表を勤めるHappy Earth。ここではコーヒーのフェアトレードに関わる活動、そしてGEN(Global Ecovillage Network)の協力をあおぎながらエコビレッジの推進を行っている。現在は、来年オープンするエコビレッジの建築中で、そこでは貧困の救済とパーマカルチャーを踏まえた施設づくりがおこなわれている。将来はそこでエコビレッジ・デザイナーを育てるための教育も行う予定だ。
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エコビレッジ国際会議 2007
北欧のコレクティブコミュニティと日本での展開 小谷部育子さん

「個人的生活はシンプルに、社会的生活は豊かに」。
コレクティブハウジングは個人の住空間を持ちつつ、共有スペースを通じて住人同士が暮らしの一部を共にする暮らし方。キッチンやリビングの他、図書室やゲストルーム、ジムまで備えたところもあり、住人が食事を共にするコモンミールがコミュニティ運営の中核となっている。1930年代にスウェーデンのストックホルムに第1号がつくられた後、フェミニズムやエコロジーと結びつきながら、デンマークやオランダ、北アメリカなどへ広がった。日本では2003年に建設された東京の「かんかん森」が注目されている。また最近スウェーデンでは「フェルドクネッケン」「ソッケンストゥーガン」「コルネット」など、第二の人生を楽しむことがテーマのコレクティブハウジングが出現中。入居者は40代からなのだそうだ。
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エコビレッジ国際会議 2007
【日本事例レポート】地域再生コミュニティづくり 相根昭典さん

エコビレッジ鶴川など、エコ住宅を次々と建設している。今回はエコビレッジ鶴川の例を取り上げ、いかに環境負荷が少なく、安全・安心な家を、住民の協力とともに立ち上げたかを説明。住み始めてもうすぐ1年が経つエコビレッジ鶴川では、現在は住民が主導で運営し、さまざまな持続可能な取り組みがされてるよう。
エコ住宅は木材をたくさん使うので、建てていけばいくほど、管理の行き届かない日本の森をどんどん手入れできるようになる、と相根さん。1年に100棟建てれば、1億円ものお金が森に落ちるという。まずは東北地方に、地元の木を使って「悲壮感のないエコビレッジ」を建築していきたいと語りながら、日本の林業復活を切に願う相根さんの夢は現実的且つ大きい。
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エコビレッジ国際会議 2007
【日本事例レポート】五島列島限界集落再生プロジェクト 石川孝さん

「限界集落」とは、住民の半数以上が65歳以上で共同体としての力が限界に来ている集落のことで、そのままにしておくと消滅してしまうコミュニティのこと。現在、日本では毎年20〜30の集落が消滅している。長崎県・五島列島にも、多くの限界集落が存在する。東京生まれ・東京育ちの石川さんは、旅行で訪れた五島列島にすっかり魅了され、“第二の故郷”を救おうと「五島列島限界集落再生プロジェクト」を立ち上げ、日本型エコビレッジを創り出そうとしている。東京と五島列島を“渡り鳥”として行き来し、都会の人たちに農業を体験してもらい、地域住民と交流することによってコミュニティに活気を取り戻すのが目標だ。しかし時に地元住民との間に気持ちのすれ違いなどもあり、当然簡単な道のりではないのだが、石川氏の決心と熱意はそれを上回っている。総じて言えることだが、コミュニティ作りにはとことん根気がいる。このプロジェクトの今後の動きは日本の消え行く山村の再生という重要なテーマに対して、何らかの示唆を与えるだろう。
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エコビレッジ国際会議 2007
ゲストとの質疑応答(ファシリテータ:糸長浩司)

「なぜ自分はこのエコビレッジを広げる活動に関わっているのか?」社会的な背景も交えて話して欲しいという糸長さんの質問に対する海外ゲストの答えは、エコビレッジ運動の背景に様々な社会的要因があり、世界中の人々が同じ問題に直面していることを確信させるものだった。
ペニー・ベラスコさんは「フィリピンでは海外へ出稼ぎに行く人が多く、家族やコミュニティがばらばらになっています。そして彼らは海外の文化に憧れています。貧困の中で高度経済成長に向かっている中で、私達はよい模範を示さなければならない」と、グローバル経済の中で生活を成り立たせるために、フィリピンの人たちが本来持っていた暮らしや固有の文化が失われていることを伝えてくれた。
そして、アメリカに住むダイアナ・クリスティアンさんは「先進国と呼ばれる国の人々は、自然や人とつながった生活を取り戻したいと思っている」とコメント。置かれた状況はそれぞれ異なるが、現在の地球と人類が直面している問題の捉え方には共通のものがある。世界の人々が同じ問題に気づき、その解答のひとつとして取り組み始めたのがエコビレッジというコミュニティースタイルだともいえるだろう。

11月24日(土)
エコビレッジ国際会議 2007
南米のエコビレッジづくり ジョバンニ・カルロスさん

メキシコで1982年に自身を中心に設立したエコビレッジ「ウエウエコヨートル(Hue Hue Coyotl)」を拠点に活動を展開しているジョバンニ氏は、ラテンアメリカでのエコビレッジの現状、役割と未来について語った。
現状としては、パーマカルチャーを実践するエコビレッジである「アソシアシオン・ガイア」(アルゼンチン)、移動型のエコビレッジである「ラ・キャラバナ(La Caravana)」(メキシコ)、各国の大学と提携したパーマカルチャーコースがあり、伝統的な方法で家々が建てられている「エル・ポンチョ(El Poncho)」(ボリビア)、先住民の人々にヒントを得て、ジャングルの中でエコビレッジをつくり、科学的な専門的スキルで、熱帯雨林の保護に活動している「リゼルバ・ササルディ(Reserva Sasardi)」(コロンビア)、自分たちの私有地を熱帯雨林保護地区にしようとしている「アブラ144(ABRA 144)」(ブラジル)、ラテンアメリカにおける持続可能な生活様式の模範的な訓練の場になっている「IPEC」(ブラジル)、エコビレッジ的活動がさかんなメキシコからは「ラス・カニャーダス(Les Canadas)」、メキシコシティで太陽光発電、水の節約、屋上菜園などを備えた、「エコバリオス(ecobarrios)」とよばれる居住区の活動について、そして自身のエコビレッジである、ウエウエコヨートルにおけるアートが生活の中に深く織り込まれた豊かな生活について発表した。
ウエウエコヨートルのようなコミュニティは日本では成立しにくいかもしれないが、非常におもしろく、興味深い。何しろ劇団のキャラバンから始まったこのコミュニティではすべての行為が演劇であり、それぞれがその時々に応じた人格を(例えば建築作業に入ったなら腕のいい大工を、またあるときにはミュージシャンを)演じ、喧嘩でさえも、つまり人生すべてが豊かな演技(アート)で綴られているという。
最後にジョバンニ氏は、エコビレッジには世界に対して、持続可能性を教育する役目があり、人類の未来はそこにある、と強調した。会場にいる若者に対して「未来はあなたたちのものだ。持続可能な社会を作る大変なチャンス」と、日々創造的な暮らしをおくる彼らしい言葉で締めくくった。
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エコビレッジ国際会議 2007
【海外事例レポート】米国ペンシルベニアキャンプヒル カイル・ホルツヒューターさん

アメリカ・ペンシルベニア州キャンプヒル・ビレッジ・キンバートン・ヒルズは1972年に設立され,現在世界で20箇国以上にわたって100以上ある国際キャンプヒル・コミュニティの一つ。広さは175haあり,約120人の人々が18軒の家に分かれて、ビレッジャー(障害者),コワーカー(健常者),コワーカーの子供が家族のように暮らしている。世界にいくつも存在するキャンプヒルは主にシュタイナーの思想をベースに設立されている。
カイルさんはシュタイナー農法の研修生としてキンバートン・ヒルズに滞在していた。キンバートン・ヒルズでの施設の運営方法と活動内容や環境への取り組みとして持続可能なシステムを使用している事を現地の写真と共に紹介。しかし課題もあり,広大な敷地のために車での移動が大半で、自転車や徒歩で移動するようにしているが、車を使用しない生活に切り替わるのは時間がかかるようだ。
このような課題もあるが,キンバートン・ヒルズは財政的や社会的には成功している。何より優れた点は人間の違いを受け入れることであり,個性や特異性を認め合い,お互い尊敬し合い家族のように暮らしている。
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エコビレッジ国際会議 2007
エコビレッジが世界を変える ダイアナ・クリスティアンさん

2日目のプレゼンテーションでは海外のエコビレッジ3事例を紹介した。

  1. アースヘイブン・エコビレッジ(米国)は山間地に立地する農村型コミュニテイ。1994年にアースシェア基金を設立し、320エーカーを全員で共同購入し40名が暮らす。居酒屋、パーマカルチャーの講座や会議を行う集会場があり、会議は合意形成を採択。全ての建物は自然素材を使用したパッシブソーラーデザイン、軸組工法等で造られる。住宅はコンパクトな設計で、コンポストトイレも整備。電力は小川の水力発電から、水は雨水や貯水池、泉から供給し、人口湿地の浄水も行う。交通は自転車を使用し、バイオデイーゼルによる車の共同利用も行う。養鶏や酪農、CSA(農産物契約栽培)や有機ハーブの薬の販売、林業のビジネスはコミュニテイの生計を支えている。
  2. フィンドフォーン財団(スコットランド)は、世界的に有名な精神的なエコビレッジで、全人格的な教育の国際センターでもある。1962年に設立し、30エーカーにフィンドホーン財団100名とフィンドフォーン協会400名の計500名が暮らす。1964年初めに精霊からの教えを機に教育を提供し、1990年代からエコロジー事業を開始する。45のビジネス(200名)や地域通貨、地域投資銀行の設立によって、活気溢れる農村経済を実現している。
  3. ニーダカウフンゲン共同体(ドイツ)は、1986年に創設された、古典的なコミューン方式の社会主義に基づくドイツ最大の収入共用型コミュニテイ。荘園の集合式邸宅(敷地4エーカー)に10グループ単位で80名が暮らす。建築、有機野菜、幼稚園、高齢者のデイケアーセンターなど10のビジネスがあり、運営は全員で共有し合意形成で決定。高度な断熱、パッシブソーラ—住宅、食物の自給、菜食によって、CO2の排出量を削減。収入は完全に共用され、金庫も住民全てで共有されているという。適度なサイズのコミュニティでは共産主義的な共同体が理想的に機能しうるという一つの事例でもある。

以上の事例紹介の最後に、「エコビレッジ? 出来るさ。」という子供のメッセージを取り上げ、イスラエルのキブツ・ロタンでの、アルミ部材とストロベール・太陽電化パネルを使って2週間で造る安価で、即構築可能な住宅を紹介した。
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エコビレッジ国際会議 2007

ライブ ジョバンニ・カルロスさん

アーティストでありミュージシャンでもあるジョバンニ・カルロスさん。メキシコのウエウエコヨトルエコビレッジに住みながら、アメリカでも音楽活動をおこなっている彼が、ランチタイム後のステージにギターと一緒に登場。アップテンポのキューバミュージック、消えゆく熱帯雨林に思いを馳せたブルーズ、ラブソングの3曲を披露し、会場にリラックスした明るい空気を運んでくれた。
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エコビレッジ国際会議 2007
コーポラティブ住宅での日本型エココミュニティの実例 延藤安弘さん

NPO法人まちの縁側育み隊代表理事であり、コーポラティブ住宅や住民主体のまち育ての伝道師として全国を飛び回っている延藤安弘さんは、都市におけるエコビレッジ的コミュニティの成功事例として、1985年に竣工した京都のユーコートを紹介した。ユーコートはU字型に、誰もが使える中庭があるコーポラティブ住宅だ。すべてにおいて、多数決ではないやり方で対話を重ねていったことで、大人から子ども、動物までもが豊かなコミュニティ、生態系を作り上げた。やがて、すべての家のバルコニーが緑化された。水平方向は貫通したバルコニーで、子どもが行き交うことができる。横にコミュニティ、縦には生態系の網の目が張り巡らされた。住宅密度は都市部と同じくらいだが、そこに命があふれている。子どもたちが生命の担い手になった。このような、子どもも、水、風、猫、うさぎ、犬、人間も、いのちがつながりあえる暮らし方こそが、日本的エコライフではないだろうか?と締めくくった。
このプレゼンテーションで何よりすばらしかったのは、スライドを使ってユーコートの歩みを解説する延藤さんが、無声映画の弁士のように弁舌巧みで会場から笑いと感動を絶やさなかったこと。コミュニティに必要なのはまず第一に笑いかも知れない。最後にホワイトボードにまとめた「エココミュニティへの8つの志」のウィットに、外国人ゲストたちからスタンディングオベーションの賞賛が送られた。
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エココミュニティへの8つの志 − ユーコートと世界のプロジェクトが示すキイワード −
エコビレッジ国際会議 2007
1)「」ゆっくり、ゆったりと真手(マディ)を大切に
Slow is beautiful
2)「」対人関係のヒューマンスケールと人間の尊厳
Human scale & dignity
3)「」軽い生き生きとした生活連帯と感動的な楽しい協働
Active living solidarity, associated relaxation
4)「」「なつかしい未来の創造」「オシャレなふるさとを創る」
Re-imagine ancient futures, smart and sustainable living
5)「」生命生物育みを楽しむ、文化の継承・再創造
Enjoy life rearing culture
6)「」気が遠くなるほどのトラブルをエネルギーに変えるセンスを高めて
Empower conflict-friendly sense
7)「」価値づくりの遺伝子の伝播とネットワーキング
Communicate gene of making value, networking (GEN)
8)「」多様なエコロジーへの開かれた心
Open mind for holistic ecology

豊かな生き方」のデザイン “Share Eco” = “Happiness is sharing eco”


エコビレッジ国際会議 2007
【特別レポート】コーポラティブ方式によるコミュニティの実例 中村秀樹さん

多くのコーポラティブハウスを手がけてきた株式会社都市デザインシステム。サステイナブル開発事業部の中村秀樹さんによると、コーポラティブハウスの建築数が65棟957戸まで伸びた理由には、楽しそうに暮らす居住者達を見て「自分もつくりたい」という地主が現れたことがあるそうだ。同社は集合住宅や街のデザインを通じて、環境の潜在力を引き出し、コミュニティ機能を誘発し、都市生活を楽しむことをテーマに、海、川、街、森、山のプロジェクトを展開中。新宿から電車で15分程のところにある野川エコビレッジでは、入居予定者が川の生態系の調査やゴミ拾いなどを開始し、汚れていた川を再生した。生活の中にコミュニティと自然を取り戻した好例だろう。
敢えて都市のエココミュニティ化を実現したいと語る中村さんのヴィジョンに共感する都市居住者は、おそらく多いのではないだろうか。
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【特別レポート】都市に森をつくりすむ 甲斐徹郎さん

二つのコーポラティブ住宅を例に現代におけるコミュニティ価値を環境価値と関係価値の視点から述べた。
環境価値とは共同空間等のハード価値で、関係価値とは実際の生活で生まれるソフト価値のこと。二つのコーポラティブ住宅を対象に調査を行った結果、環境価値が高いと関係価値も高くなり、この事から環境価値から関係価値が得られるようになった、と甲斐さんは言う。
スライドで「欅ハウス」と「ザ・ステイツ平和台」の住宅を紹介し、二つの住宅とも、住民が何か行動を起こし、その行動が自分達の生活を豊かにすることが分かると自然と周りの住人にも浸透していっている。今の生活にはない、個人では得られない価値を意識せず得られる生活だと感じた。
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デンマークのエコビレッジ 高樹沙耶さん

今年、BS朝日で取材に行ったデンマークのエコビレッジを紹介。
環境先進国であるデンマークでは、1970年からエコビレッジの動きが始まり19世紀にはグロントリーという宗教家によって、国王が国民と共に暮らす共生思想が広まる。人口の少ないデンマークでは、2005年にはCO2削減16%を達成し、都市部では自転車専用道路や電車での自転車の持込み、観光客用のコイン投入によるレンタサイクル、子供の菜園などを実践している。(1)1978年に創設されたスバンホルムエコビレッジは、415㌶に200名が農業を中心とした共同生活を営んでいて、木工場等もある。収入の8割は共同体に納めている。(2)トオーロップエコビレッジは1988年に創設され、100名が暮らす。住民は茅葺き屋根の住宅等を建て、下水と農地は共有する。(3)サムソウ島はバイオマスエネルギー、風力発電による自然エネルギーを最大限活用し、エネルギーの完全自給を実現している。設備費は、個人で投資し利益は配当される。
高樹さんは、1998年にオーストラリアのイルカセラピーとアボリジニーの人々の取材や、マレニーへの訪問を機に、自分の食物は自給しようと千葉にエコハウスを造った。都市に住んでいながら自分の行動がどう地球に影響するか日々考えて生活していると言う。最後に、ビレッジという単位になると大きいけれども、自分の住環境レベルで始められることから取り組みたい、と語る彼女は等身大の実践者で、その表情はいきいきとしていた。
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【海外事例レポート】東アフリカエコビレッジプロジェクト 渡辺菊眞さん

土嚢を積んでつくる住居を提案している渡辺菊眞さんは、2001年から現在までにインドや天理大学で21棟を建設してきた。この住まいの特徴は、材料がどこでも手に入ること、循環する素材であること、建設が簡単なこと、冬あたたかく夏涼しいことなどがある。そして震度8にも耐える耐震性と、分厚い壁が弾丸を遮るという大きなメリットも。この土嚢の住居と鳥翼式風力発電機、バイオガストイレ、竹からのアルコール燃料精製などを組み合わせたコミュニティづくりも検討している。現在、アフリカの東岸、ビクトリア湖周辺の国で支援活動を計画中。ネットワークをつくりながら計画を進め、地域の人が共通の夢を描くきっかけをつくりたいと考えているという。
愛嬌あるその性格と対照的に、渡辺さんの手がける特徴的な空間構成は、自然環境に最適化した結果、宇宙的目線から人間の住を捉えているようでもありユニークである。
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エコビレッジ国際会議 2007
【日本事例レポート】伊達エコビレッジ計画 西條正幸さん

北海道初のエコビレッジ「伊達エコビレッジ」の紹介。今まだ着工していないが着々と計画は進んでいる。
伊達市は「北の湘南」と言われているほど温暖な気候であり、館山の高台の噴火湾が眺望出来る場所に位置している。「誰でも気軽に住めるエコビレッジにしたい」ということで、誰でも手に入りやすい地元の素材、例えば地元の松の木材やホタテの養殖での貝殻等を多用している。そしてエコビレッジらしく、環境への配慮も忘れてはいない。暖房には地元の木材を使った木質ペレットストーブを用い、太陽熱や雨水の利用、壁面や屋根の緑化を計画。また、コミュニティ空間として小さな森や有機菜園等を取り入れている。
「地元で地元を感じられるエコビレッジを」と西條さん。今後の発展が楽しみだ。
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エコビレッジ国際会議 2007
ゲストによるディスカッション(ファシリテータ:糸長浩司)

会議の最後は、糸長浩司さんを司会役に、ゲスト11名(ダイアナ・クリスティアン、延藤安弘、ジョバンニ・キアロ、中村秀樹、ペニー・ベラスコ、甲斐徹郎、渡辺菊眞、西條正幸、カイル・ホルツェター、相根昭典)にこの会議の進行役であるシキタ純を加え、ディスカッションが行われた。
日本勢からは、日本はシステムやハードを取り入れるのは得意だが、今後は海外事例にみられるようなスピリチュアリティ、包括的なエコロジーの精神が必要だ、という意見が聞かれた。更に海外の一部コミュニティでは、コミュニティ内で仕事を創出し、循環する経済システムを作り上げていることを取り上げ、このような深化したエコビレッジの在り方にも多くを学ぶべき、との意見も出た。
海外勢からは、1980年代に始まったユーコートの事例が世界的に見ても先進的だという指摘や、鶴川での樹木伐採前の祈祷の様子を見て、自然観・生命観がとても日本らしく印象的だったという意見が出た。
最後の質疑応答では、老人・障害のある人などを含む、あらゆる人々が共存するエコビレッジが世界中に存在しているというメッセージを海外ゲストが伝え、このエコビレッジ国際会議のように、世界に広がるさまざまなエコビレッジをネットワーキングする活動が今後、より必要であることを全参加者が確認して、2日間の充実した国際会議を終えた。


最後にゲストと来場者全員で集合写真

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