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095 芸術論

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BeGood Cafe Tokyo Vol.95

『芸術論』〜 コミュニティ+アート
地域創造化が始まった!
DATE : 2006年11月19日(日)

芸術って生活とはかけ離れたもの。生活空間に、ましてや田舎に定着するものじゃない……そんなふうに思っていませんか?

しかし日本にもアートにあふれる風景が登場し始めているのです。今回のメインゲストは新潟の寒村をアートあふれる地域に変えた「越後妻有アートトリエンナーレ」総合ディレクターの北川フラムさんと東京東部の下町をクリエイターの力で動かし始めた「CET」の佐藤直樹さん。おなじみの代官山Ball Roomに、心を豊かにさせるアートで素敵な時間が生まれました。

[ ゲスト ]
北川フラム 北川フラムさん
大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ総合ディレクター、アートフロントギャラリー代表

 

佐藤直樹 佐藤直樹さん
CET(セントラルイースト東京)メインプロデューサー、アジール・デザイン&アジール・クラック、アートディレクター

 

ゲスト プロフィール詳細

BeGood Cafe Tokyo
ビーグッドTALK−1
ゲスト:佐藤直樹さん(CET[セントラルイースト東京] メインプロデューサー、アートディレクター)

アジールデザイン、アジール・クラックのアートディレクター、佐藤直樹さん。多摩美術大学で助教授を務めるなど多彩な活動を続ける佐藤さんですが、この日は東京の下町をクリエイター居住区に変え始めたCET(Central East Tokyo=セントラルイースト東京)の活動を中心に話が進みました。佐藤さんが力を入れているのは、「かつては東京の中心だった東京東部の下町」。ここで入居者がいなくなったビルなどを新たなアート空間として再生しているのです。その取り組みはアーティストの個性を生かしたユニークなものであるとともに、地域の住人達を巻き込んだ、地域再生的な動きまでをも含んでいます。さまざまな試みをしてきたようですが、なかには地域の人の発案で道路を通行止めにしてイベントをやったこともあるのだとか! 熱い江戸っ子の血に火をつけたのでしょうか? アートの持つエネルギーの底力を感じさせてくれるエピソードですね!

BeGood Cafe Tokyo ビーグッドTALK−2
ゲスト:北川フラムさん(大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ総合ディレクター)

「大地の芸術祭ー新潟越後妻有アートトリエンナーレ2006ー」は芸術作品が山、川、田の広がる集落に点在するというユニークでダイナミックな自然とアートが融合した祭典。それは新潟県のホームページでも紹介されるなど、地域と人をつなぐアートイベントとして、様々な分野の人から注目されているようです。
北川フラム氏が十日町地域振興局長と2006大地の芸術祭振り返る

BeGood Cafe Tokyo これを企画したのは、企画展のプロデュースからまちづくりと一体になったアート計画など幅広い活動をおこなっている北村フラムさん。1988年には「アパルトヘイト否!国際美術展」を全国194ヵ所で開催し、アパルトヘイトに反対する芸術家の動きを日本に紹介するなど、独自の視点に立った活動を続けてきた方です。「この車が赤い風船と一緒にまちにやってくるんだよ」と車の模型とスライドで当時の様子を紹介した後、現在取り組んでいる大地の芸術祭について語り始めました。
BeGood Cafe Tokyo 今年妻有につくられたアート作品は、過去2回の開催で設置された恒久作品130点と、新たに加わった40カ国200組のアーティストの作品。プロジェクターで映し出される作品群、そのダイナミックさ、繊細さ、そして豊かさには圧倒されるばかり。そしてなによりこの企画自身が地域のネットワークをつくり、人を元気にしているというのが嬉しいところ。「海外のアーティストに頼むとだいたい断られません。彼らも田舎で育っています。田舎が元気になって欲しいという思いは彼らの中にもあるのです」と、世界に広がる普遍的な動きと、その中で見いだせるアートの可能性について熱く語ってくださいました。終了後もフラムさんのまわりには質問を投げかける人が絶えず、雨ですっかり冷え込んだ空の下、タバコを吹かしながら熱ーいアート論を繰り広げていました。

「大地の芸術祭ー新潟越後妻有アートトリエンナーレ2006ー」の詳細は
http://www.echigo-tsumari.jp/

GREEN ROCK

BeGood Cafe Tokyo 平野 剛

「光をあたたかいと思うこと、風を感じること、それらを受け取った時に、その中には無数の目に見えない生き物が息づき、いっせいに輝いています。それは少しずつためられ、或るとき静かに流れ出します」一人ピアノと向き合って座り、空間の中に音を生み出していく……。淡々とした中に確信に満ちた安らぎを生み出すステージは、まさにこの言葉を再現しています。豊かな感覚と繊細な情感を広げる音の世界。しばしの沈黙、そして終焉を知らせるライトとともに会場には大きな喜びが満ちあふれました。

Smileワークショップ サウンド・メディスン/声の薬
國分利江子(ニューヨーク認定マッサージ・セラピスト)
BeGood Cafe Tokyoクリスタルボウルという楽器を知っていますか? いろんな大きさの足のないお椀のようなカタチの楽器を使って演奏するのですが、倍音のように響くその音色は癒しの効果が高いのだそうです。今回登場したのは國分利江子さん。声の出し方と体に生まれる感覚を組み合わせたヒーリングをレクチャー。会場には荘厳な雰囲気とリラックス空気が流れ、参加者の皆さんもその心地よさにしばし酔いしれているようでした。

アート・ギャラリー
“もったいない” Waste Me Not Calendar 2007
世界のデザイン賞を受賞した読売広告社のカレンダーの展示・販売をしました。
「もったいない」に基づいた、今に伝わる暮らしの知恵を集め、実用性とデザイン性の高いカレンダーです。
詳しくは、http://www.yomiko-design.com/

ワールドレポート
BeGood Cafe Tokyo森田玄さんから日本ではなかなか耳に入らない世界のニュースを紹介するこのコーナー。「ディキシーチックス」という女性グループをフューチャー。全米で大ブレイク、しかし「ブッシュ大統領が同じテキサス出身で恥ずかしい」と政治的発言をしたことから一気にメディアから相手にされなくなってしまった彼女達。CDの不買運動など大変な出来事が起こったそうです。しかし彼女達の活動を取り上げた映像ができるなど、追い風も吹いている模様。頑張れ!!ディキシーチックス!!

BeGood Cafe Tokyo speak out! art action information−1
最近エコロジー関係の雑誌などでもよく目にするようになった「もったいない」という言葉。読売広告社がつくった「もったいないカレンダー」は各国のデザイン賞でも評価を受けているスグレモノ。ミシン目が入っていて使い終わった後も日付入りのメモ用紙として使用でき、しかも毎月「生活の知恵」をテーマに構成されているという力の入ったもの。スタッフの方に聞くと、その内容は練りに練った永久保存版クラスの自信作なのだとか。美しくデザインされた写真といい、カレンダー以外の楽しみ方がいくつもありそうですね。
BeGood Cafe Tokyo speak out! art action information−2
「treasured trush」ゴミが宝になる”資源バコ”をクリエイター達がデザイン! 「持続可能な社会」をデザインで実現していこうという新しいプロジェクトが発足している。約30組のデザイナーが参加してのこの企画はgift_の池田さんが中心となって呼びかけたもの。中には行政と共同で実用化の話しが生まれたものもあるのだとか。アートが世界を変える日がやってくるかもしれません。
BeGood Cafe Tokyo speak out! art action information−3
続いては写真家として、またトークイベントなどを通じて「未来の新しい暮らし方」を提案している瑳山ゆりさん。そんな彼女からWORLD PEACEのイベント紹介。彼女の感性で切り取られたポートレイトはどの笑顔もまぶしい!
BeGood Cafe Tokyo speak out! art action information−4
そしておなじみ谷崎テトラさんの登場。この日は開場と同時に素敵な手書きステッカーを配っていた彼。それが「FREE HUGS」! 紹介されたミュージッククリップには「FREE HUGGS」と書かれたプレートを持った男性が登場。街を行き交う人々とHUGし合う様子が映し出されましたが、これをみるとなぜか心があったかくなるのです。会場では「FREE HUGS」があちこちで発生していました!

BeGood Cafe Tokyoいろんな人がいろんなカタチでつながりをつくっていこうとしている。そんな実感を持たせてくれた今回のBeGood Cafe。ゲストの方々が持つシャープな頭脳と豊かな感性にビリビリ刺激をいただいた1日でした。皆さんありがとうございました!

そしてこの会を最後にしばらく産休に入る司会の丹羽順子さんと制作のカナシロリエさん、お疲れさまでした! 幸せなお母さんになって帰ってきてくださいね!

ゲストプロフィール

■北川フラムさん
大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ総合ディレクター、アートフロントギャラリー代表


■佐藤直樹さん
CET(セントラルイースト東京)メインプロデューサー、アジール・デザイン&アジール・クラック、アートディレクター


■平野 剛さん
ミュージシャン

鎌倉市在住。音楽家。橋本一子氏に師事。90年よりカナダを中心に活動を始める。
自然に対峙し、ピアノ、ピアニカ、声、パーカッション等を用いた音楽を演奏。光をあたたかいと思うこと、風を感じること、それらを受け取った時に、その中には無数の目に見えない生き物が息づき、いっせいに輝いています。それは少しずつためられ、或るとき静かに流れ出します。